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クリエートは、なぜクラウドシステムを提供しないのか

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クリエートは、なぜクラウドシステムを提供しないのか

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数年前からクラウドシステムと銘打ったゴルフ場基幹システムがリリースされ、すでに導入されたゴルフ場があることはご存知の方も多いでしょう。
特に最近は業務管理系のクラウドシステムのCMを目にする機会も多くなり、当社の社員も「クリエートさんはクラウドシステムを作らないの?」というご質問を時々いただくことがあるようです。
そこで「クリエートは、なぜクラウド型のゴルフ場基幹システムを提供していないのか」ということをテーマにお話ししたいと思います。

そもそもクラウドシステムとは

クリエートのゴルフ場基幹システムのように、サーバとクライアントPCをゴルフ場の施設内に配置するシステムの形を「オンプレミス型」と言いますが、 それに対してサーバをデータセンター等のゴルフ場以外の場所に設置して、ゴルフ場からはインターネット越しにその機能を利用するシステムのことを「クラウド型」のシステムと言います。
クラウドシステムを利用する場合にはインターネットにつながるPCがあれば良く、遠隔地のサーバに接続してその機能を利用する形となります。
ただしクラウドシステムでは、ゴルフ場毎の専用サーバが別々に用意される訳ではありません。一般的なゴルフ場基幹システムとして開発された一つのシステムを、各ゴルフ場が皆で共同利用するのが基本だからです。
もちろん顧客データや営業データ等のゴルフ場毎のデータについては、個別に管理されますが、チェックイン画面や精算画面を始めとする業務機能や帳票類については、基本的にはどのゴルフ場も同じ機能を同じ形で利用することになります。
このようにクラウドシステムは、従来のオンプレミスシステムのような個々のカスタマイズ等はせずに、一つの同じシステムを各ゴルフ場に共同利用してもらうことで、そのメリットを出そうとする仕組みなのです。

クラウドシステムの一般的なメリット

一般的に「安く、早く始められる」ということがクラウドシステムの一番のメリットとして取り上げられます。
サーバを施設内に配置しないことで、それを所有する初期投資が不要となり、サーバの運用に気を遣う必要もなくなるという訳です。
システム導入が早いのも、ユーザー個別のカスタマイズや変更等を行わないためで、会員データの移行や最低限の業務設定さえすれば直ぐに使えるようになるからです。
ここまで聞くと、クラウドシステムは安く早く始められるという、いかにも良いことずくめの全く新しいサービスのように聞こえます。
ではなぜクリエートは、そんなクラウドシステムを提供しないのでしょうか。

クリエートが、クラウドシステムを提供しない理由

その最大の理由は、クラウドシステムのビジネススキームが、クリエートが一番大事にしているビジネスポリシーとは相容れない真逆のものだからです。
クラウドシステムは、ゴルフ場運営に必要な最低限の機能を共通的に用意し、それをできるだけ多くのユーザー(ゴルフ場)に画一的に利用してもらうことで成立するビジネスです。
とかく、価格の安さや、何となく新しそうだというイメージ等が表面的に取り沙汰されますが、カスタマイズ等の手間をかけずに利用するユーザーをできるだけ増やすことで、システムを提供する事業者側の利益も最大化しつつ、ユーザーに効率よくそのサービスを提供しようとする仕組みなのです。
クリエートは、各々のゴルフ場向けにそれぞれの運営方針や細かなニーズに合わせてのセミカスタマイズを行うことを大切にしています。
ゴルフ場の業務はどこも同じと思うかもしれませんが、実際の業務の効率化を細かなところまで詰めていくと、決してそんなことはないのです。
クラウドシステムに比べたら、とても手間のかかる仕事ですし、ビジネスの効率から言えば全く真逆のことをしていることになります。
しかし、そうしたセミカスタマイズへの取り組みや、定期訪問を始めとするサポートサービスを喜んでいただき、ゴルフ場に必要とされ続ける私たちでありたいと願っているのです。
これこそが、基幹システムにおいてクリエートがクラウド型でのビジネスを提供しない最大の理由です。
カスタマイズをしないことでビジネスを成立させるクラウドシステムを採用しないのは、技術の問題ではなく、ビジネスポリシーの問題なのです。

カスタマイズするクラウドシステムを提供すれば良いのでは?

そこまで言うと、「ではクラウド上でカスタマイズすれば良いのではないか」というご意見も聞こえてきそうです。
たしかに技術的にはそれも不可能ではありません。(ホスティング型やプライベートクラウド) しかしそれをやろうとすると、 今度は逆にクラウドシステムのデメリットが前面に出てきて、わざわざクラウド型にする意味が薄れるという結論になってしまうのです。

安かったはずのクラウドシステムなのに逆に高くつく

クラウドシステムの仕組み(サーバーの共用化)のメリットは、利用コストの安さを提供するところにあります。
ところが、個別のカスタマイズもできるクラウドシステムを使いたいという話になると、それは自分専用のサーバ環境を持つのと変わらなくなります。
そうなると当然のことながら、決して安くない自分専用のサーバレンタル料を個々のゴルフ場が負担しなければならないという、逆の結果が生じてしまうのです。

オンプレミスシステムに比べて画面移動や反応が遅くなる

従来のシステムでは、施設内のサーバとPCをLANケーブルで直結して高速のネットワーク経由で利用する形が主流です。
それに比べてクラウドシステムでは、遠隔地のサーバと施設内のPCとはインターネット回線を通じて利用する形に変わります。
インターネット回線は、街中の光回線でも外的影響を受け、早くなったり遅くなったりとLAN回線ほどの速さはでません。
したがって画面の切り替えや結果の応答等、従来のLAN回線に比べて反応動作が遅くなるのは当然の結果です。情報量が多くなればなるほど顕著に表れます。
しかもチェックインやチェックアウトのピーク時には、タイミング的にも全ゴルフ場からの業務データが一斉にデータセンターに集中するため、ユーザーが増えるほどサーバ内での処理が遅くなることも懸念されます。

クラウド化が進んだ米国では、逆にオンプレ型に戻している

米国では、政府が、2010年に膨れあがる連邦政府のITシステムへの支出を削減するため、クラウドサービスへの移行促進策として、「クラウドファースト政策(Cloud First Policy)」(出典:Driving IT Reform: An Update)を掲げたことから、クラウドファーストの考え方が広まりました。
日本は米国に7年以上後れをとっているクラウド抵抗国の一つに位置づけられていました。
ところがクラウドビジネスが盛んで実用化も早かった米国では、実はここ数年は「脱クラウド」「オンプレ回帰」という動きがトレンドとなっていることをご存じでしょうか。

あるレポートでは、次のような問題をその理由として挙げています。

コスト削減のため

意外に思われるかも知れませんが、クラウドシステムは長く使い続けるほど、そのトータルコストが増大していきます。オンプレ回帰する一番の理由にコスト削減を挙げる企業も多いとのことです。

業務システムのパフォーマンスが低下してしまったため

ある程度の応答速度が求められる基幹システムでは、パフォーマンス的にオンプレ環境の方が望ましいと言われています。
基幹システムをクラウドに移行した場合に、実際にどの程度の応答速度が実現できるかは、やってみるまで分からないというのが実情です。
本来はオンプレ環境に残しておくべきだったシステムまでクラウド化してしまったことが原因で、移行してみたもののむしろ不便になってしまい、オンプレ型に戻すというケースが一定の割合で発生し続けているようです。

セキュリティ面での懸念が消えないため

万全なセキュリティ対策を講じていますとアピールするクラウドシステムですが、パブリッククラウドではユーザーデータが安全に守られているとは言えないとの指摘が以前からあります。
重要なデータを自社の統制やコントロールが及ばない他社に預けるというセキュリティ面での問題から、システムとデータを再び社内環境に戻すという動きもなくならないようです。
電子メールやファイル共有システム、スケジュール管理や給与・財務・勤怠管理システム等、私たちの周りでもすでに多くのクラウドシステムが利用されています。
しかしそれらは、求める仕組みが決まっていたり、法令等でルールが統一されているからこそシンプルに成立しているものばかりです。
一方で業務基幹システムという分野では、事業者毎に業務ルールや施策等の独自性が高く、同じ業種だからといって簡単に皆が同じシステムを共同利用できるほど単純なものではありません。
ましてや接客場面の多いゴルフ場においては、システムには速い応答速度も要求されます。決してクラウドシステムそのものを否定しているのではなく、クラウドシステムにも、向き・不向きがあるということなのです。
また「オンプレミス型システム = レガシーシステム」という意見もありますが、これは大きな間違いです。
レガシーシステムとは過去の技術や仕組みで構築され、開発側からもブラックボックスになってしまっているシステムであり、オンプレミス型システムとは何ら関係ありません。また、レガシーシステムとは単に古いだけではなく、 大企業等でセクション毎に自分達だけの業務効率を考えてバラバラなシステムを導入してしまい、セクション間の連携ができていない。いわゆるつぎはぎのシステム等も指します。
ゴルフ場の業務を全て把握し、開発当初から各セクションの連携を考慮して設計されている専用基幹システムこそが、本当の意味でのシームレスなシステムと言えます。

世の中はどんどん変わりますので仕事の内容も質も変わって来ます。従来のやり方にとらわれず変革していくことは勿論必要ですし、そんなことは当たり前のことです。
クラウドがよさそうだからと言って基幹システムを変えることにより、今まで1クリックで作成された帳票が、EXCELや電卓を使用しないとできなくなってしまっては本末転倒です。
本当のDX化とは、単にクラウドかオンプレミスかという運用方法の問題ではなく、デジタル技術を活用して真に業務を改善する取り組みの事をいいます。

「クラウドは、従来と同じような機能が安く提供される新しいシステム」だと意外と多くの方が誤解されているようです。しかし安くなるにはそれなりの理由があり、一方では諦めなければならない点も多く、決して従来と同等の機能が使えるという訳でもないのです。
この「機能重視のオンプレミスか」、「安さ重視のクラウドか」という問題は今後ますます議論される場面が増えていくかと思います。
もしもそのような検討をされる時には、表面的なメリットだけではなく、実質的なデメリットも併せてご検討ください。
そして、ぜひ当社にも遠慮なくご相談いただければと思います。
クリエートはこれまでと変わらず「お客様の利益を最大化する」ことを目的にこれからの技術革新にも敏感に、費用対効果の高いサービスを提供し続けます。

ご不明点等がありましたら、お気軽にお問い合わせください。